「違う」が前提。特別支援教育のキーワード「インクルーシブ教育」って?

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教育に携わる中で耳にする「インクルーシブ教育」という言葉。障害の有無に関わらず、すべての子どもに対して一人ひとりに合った教育支援を行う仕組みのことです。『うさぎノート通信』では、株式会社リタリコの野口晃菜さんのインタビュー(インタビューを見る)でも取り上げています。そこでの内容を踏まえつつ、今回は、「インクルーシブ教育」の基本についてまとめました。その目的や可能性と、先生が心がけることをご紹介します。

目次

「インクルーシブ教育」で誰も排除されない指導を

「インクルーシブ教育」の元となる「inclusive」という単語は、「包括的な、全てを含んだ」という意味です。世間では「障害のある子も、そうでない子も同じ教室で共に学ぶこと」と誤解されがちですが、ただ単に同じ教室で学ぶだけが目的ではありません。子どもの多様性を尊重して、障害がある子も同じように可能性を持って成長し、社会に参加しやすくすることを目的としています。

例えば、読み書きが得意な子、聞いて覚えるのが向いている子、実践が好きな子など、子どもによって学びやすい環境や方法は違います。多種多様な子どもたちの特性を活かし、一人ひとりに合った学びの場を提供することで、誰も排除されない教育を作り上げることができます。

「インクルーシブ教育」と特別支援教育の密接な関係性

障害を持つ子どもが教育を受ける特別支援学校は、公立の学校と比べて数が非常に少なく、該当する子どもたちは家から離れた学校に通わなければなりません。そのため、自宅のある地域との接点も他の子どもと比べて限られるので、人と接する機会があまりないのが現状です。こういった事態を防ぐためにも、遠方の特別支援学校に通わずとも、近隣の学校に通いながら、どんな子どもも平等に教育が受けられる「インクルーシブ教育」が推進されているのです。

アメリカでは、障害のある子どもが3〜21歳まで義務教育が受けられる仕組みや、学校の支援が不十分な場合は保護者が支援を要請できる仕組みなど、さまざまなニーズに応えられる体制が整っています。しかし、日本はまだそこまでの体制には及んでいないため、今後の学校の対応が課題となっています。

また、特別支援教育と「インクルーシブ教育」は、切っても切り離せない関係性。さまざまなニーズに的確に応えられるよう、「インクルーシブ教育」の視点を用いて、通常学級と特別支援学級、公立の学校と特別支援学校などの双方が連携することも、特別支援教育においては重要です。

多様な学びの場を作るために先生がしたいこと

多様性を重視する現代においては、特別支援教育や「インクルーシブ教育」に対して、先生自身が当事者意識を持ち、子どもたちとどう接していくのかを考える必要性があります。障害の有無に関係なく、一人ひとりに特性はあるもの。誰一人として劣っている存在ではありません。

例えば、文字を書けない子どものことを先生が「あの子は文字が書けないから特別にアイパッドで授業を受けているんだよ」と他の子どもに説明するのではなく、「文字が書けないけれど、こんなことができるんだよ」と伝えてあげることで、「あの子は変わっている」ではなく、「秀でているところがある」という肯定の雰囲気を作ることができます。

特別支援教育やインクルーシブ教育は、今や全ての先生が当事者になる可能性を持っています。今回ご紹介したような内容に日頃から目を向けていくことは、全ての子どもたちの可能性を活かす教育の参考にもなるはず。多様化する社会では、どのように子どもたちと向き合うべきなのか、この機会に改めて考えてみるのはいかがでしょうか?