「勉強して宇宙飛行士になりたい」自身の原体験がサービスの根幹に。株式会社マナボ三橋克仁さん(後編)

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ITの力で教育の分野に新しい可能性をもたらすwebサービス『manabo(マナボ)』を提供する株式会社マナボの代表、三橋克仁さんのインタビューです。前編(前編はこちら)では『manabo』の魅力について詳しく伺いましたが、今回はサービス誕生の原体験でもある、三橋さんの学生時代を掘り下げていきます。先生がその場にいなくても、生徒は直接指導を受けているような体験ができるサービスの誕生には、どのようなエピソードが隠されているのでしょうか?そこには、三橋さんのこれまでの生き方が大きく関わっているようです。

目次

パリ帰りの芸術家である父に対し、自分は宇宙飛行士になるのが夢だった

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    うさぎ

    そもそも、三橋さんが『manabo』のようなサービスを生み出すまでには、どのような過去があったのでしょうか?

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    三橋さん

    実は、僕の父はプロの画家なんです。かつてはパリで活動をしていたのですが、僕が生まれることをきっかけに、日本に帰ってきたそうです。生粋の芸術家である父は、お金を稼ぐことに関しては、かなり無頓着で……。そのおかげで、家族は決して裕福な生活ではありませんでした。すごく貧乏な訳でも無かったけれど、子どもながらに自由にわがままを言える環境ではありませんでしたね。

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    うさぎ

    それは一風変わった家庭環境ですね。それが、『manabo』誕生のきっかけになったのでしょうか?

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    三橋さん

    原体験のひとつではありますね。僕は、小学生の頃から宇宙飛行士になることが夢だったんです。そのために、一生懸命勉強をしてきました。でも、塾に行きたくても、家計にそれほど余裕がないことは知っていたので、父の絵画を売ったりして(笑)なんとか、自分が学ぶための資金を集めたりしていました。『manabo』では、月額3,500円*で誰もが、いつでもどこでも必要なときに専門の知識を持つチューターから指導を受けることができます。僕のように、学ぶための資金が乏しい家庭にいる子どもでも、意欲さえあれば伸びていける環境をもっと作っていきたいと強く思っているんです。現在は、アジア圏の可処分所得の約40%が教育費に使われているというデータが実際に出ているんですよ。
    ※基本の1時間プランの場合。詳しくは公式HP参照(http://manabo.com/index.html

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    うさぎ

    40%とは、結構な割合ですね。それだけ、保護者の収入によって子どもたちの学べる環境が影響を受けているということなんですね。学習意欲があるのに、金銭的な理由で望み通りの学びを受けることができないなんて、とても残念です。前編では『manabo』での指導データが蓄積されていけば、過去の指導データを再利用することもできるとおっしゃっていましたが、これは平等な教育の環境を子どもたちに与えるために大きな役割を果たしてくれそうですね。

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    三橋さん

    そうですね。過去の指導データを再利用する仕組みを整えれば、もしかしたら無料でこれらを提供できるようになるかもしれません。

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    うさぎ

    まさに、子どものころに三橋さんご自身が苦労した経験が、社会を変えうるサービスを世に残す元になっているんですね!

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高校1年生で指導者デビュー。しかも生徒は2歳年上!?

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    うさぎ

    ところで、先ほど宇宙飛行士になることが夢だったとおっしゃっていましたが、それはいつ頃まで考えていらっしゃったのですか?

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    三橋さん

    大学時代の途中までです。僕は東京大学の出身なのですが、入学時も宇宙飛行士を目指して理系の専攻を選びました。

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    うさぎ

    小学生の頃に描いた夢を実現するために、懸命に勉強をしてこられたのですね。

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    自分で言うのも気が引けるのですが、家族で住んでいた団地では、「頭が良い」とちょっとした話題になることもあって、高校1年生の時に、同じ団地内の高校3年生の家庭教師役を頼まれたこともありましたよ。

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    うさぎ

    随分早い家庭教師デビューですね!しかも、2学年も年上の生徒だなんて(笑)

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    三橋さん

    その高校3年生の生徒のお母さんによると、以前は別の家庭教師をつけていたそうなんですが、相性が合わずに上手くいかなかったようでした。しかし、僕が一緒に勉強するようになってからは、成績も伸び、感謝されて。シンプルに嬉しかったです。その時に、僕自身の「教える」というキャリアがスタートしました。その後、大学に入学してからは塾講師のアルバイトも経験して、経営者になる前に教育の現場を見てきたことが、『manabo』の強みにもなっているのかもしれません。

東京大学で感じたITベンチャーの可能性

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    うさぎ

    では、宇宙飛行士になるためにそれまで一生懸命に勉強してこられた三橋さんを、経営者の道に転換させたきっかけを教えてください。

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    「自分にしかない強みを活かした仕事をしたい」と思ったんです。もちろん宇宙飛行士も、未来を担う素晴らしい職業だけれど、ルールを無視したり、間違った判断をしたりすると、命に関わる大きなミスにつながりかねません。それよりも、僕の性分からして、さまざまなチャレンジをしながら、今の世の中にないモノを生み出す仕事に魅力を感じるようになったんです。というのも、僕が東京大学に入学したのは、堀江貴文さんが世間の脚光を浴び始めた日本の「ITベンチャー創成期」だったんです。身の回りにも意識の高い学生が多く、同世代ですでに起業している先輩もいました。起業した先輩を尊敬していたので、その会社でインターンシップをさせてもらったんです。ITの知識がほぼゼロだった僕は、この時に基本を全て叩き込んでもらったようなものです。

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    うさぎ

    大学という、それまでの学校生活よりも視野の広い環境で、より三橋さんご自身に合った魅力的な夢ができあがっていったんですね。

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    ITの可能性を身をもって実感できたのは、大学の環境が大きかったですね。他に、株式投資のサークルにも入っていたのですが、そのときの経験も経営者としての今に大きく影響しています。

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    うさぎ

    株式投資のサークル……!?いかにもレベルが高そうな響きですが、そこではどのような活動をされていたのですか?

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    サークルのメンバーで相談しながら、月曜日の朝に購入した株を、金曜の夜に売って、出た利益分を分け合うのが主な活動でした。世界情勢などを考慮してお金の動きを予測するので、メンバーの所属する学科は経済系などの文系が多かったですね。その中で、僕は理系だったので、どのような形でサークルの活動に貢献できるかを考えたときに、「プログラミングだ」と思ったんです。

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    うさぎ

    同世代が経営する会社で身につけたITの技術がここで活用されるのですね。ところで、どうやって株式投資にプログラミングを取り入れたのですか?

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    買おうとしている株の過去20年くらいのデータから、今買うと、何%の利益が出るかを自動的に算出してくれるシステムです。それまでは、サークルのメンバーで話し合いながら売買していた株を、ITの力を活用して、より効率的に判断できる仕組みを作ったんです。これが結構うまくいって、「プログラミングってこんなことができるんだ」と実感しました。

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    うさぎ

    すごい!入学時にはITの知識がゼロだった状態から、プログラミングでシステムを完成させるところまでいったんですね。

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    プログラミングでシステムを作ったのは、大学1年生だったこの時が初めてで、すごく大変でした。苦戦しながら、真夏に2か月くらい部屋に引きこもって必死でつくりました(笑)でもこの経験が、『manabo』の原型となるシステム部分(プロトタイプ)の完成にもつながったんですよ。

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    うさぎ

    先輩の会社でのインターンシップ、株式投資サークルでのシステム開発、それから塾講師のアルバイトと、大学時代に多くの経験をされてきたことが、すべて今に通じているのですね。

「教育✕IT」でビジネスのアイデアにつながった瞬間

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    うさぎ

    学生起業家が周りに多い中で、三橋さんも起業の道を選んだわけですが、ITを活用して教育のサービスを開発するというアイデアは、いつ誕生したのでしょうか?

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    三橋さん

    僕が起業したのは、大学院1年生の頃でした。起業に当たっては、まだITの力が活かされていない分野で、どことも競合しないモノを生み出そうとは決めていて。そこで挙がったのが「教育」だったんです。これまでお話してきた通りなのですが、自分のこれまでの人生を思えば、教育とITは重要なキーワードになっていたことにも気が付いたんです。

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    うさぎ

    教育に関しても、ITに関しても、三橋さんはその可能性を身をもって感じてきた訳ですもんね。

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    三橋さん

    そうなんです。『manabo』の「いつでもどこでも質問ができる」仕組みを生み出すきっかけになったエピソードもあります。個別指導塾で講師のアルバイトをしていた頃、ふとした時に生徒から電話がかかってくることが何度かありました。「先生、分かんない問題があるんだけど、電話で解説してもらえる?」って。それが数学だったりすると、口頭で解説するのがすごく大変なんですよね。駅のホームで、ケータイ片手に「それはこういうグラフになるから……」なんて宙に放物線を無意識に書いたりしているんですけど、生徒にはそれが全く伝わらなかったですから(笑)でも、学ぶ意欲があるからこそ、生徒は分からない問題にぶつかった時に、電話までしてその場で納得したいはずなんです。

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    うさぎ

    意欲がある子どもが、いつでもどこでも、教えてほしいときに分かりやすく解説してもらえるのが『manabo』の魅力ですよね。今後はどのような展開をしていく予定ですか?

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    三橋さん

    ITで教育の現場をより良くしていきたい気持ちは変わりません。アナログな現在の教育の体制を批判するのではなく、理解して、是正していきたい。『manabo』の機能もどんどんアップデートしていきます!

「今すぐ知りたい」、「本当はいつでもきちんと教えてあげたい」。そんな、生徒と先生のニーズを拾って、教育現場の「スーパーサブ」として活用できるサービス『manabo』。その背景には、代表である三橋さんの教育やITに対する長年の想いが詰まっていました。「教育✕IT」の化学反応で、学ぶ意欲さえあれば全ての子どもたちがどんどん成長できる未来は、もう、すぐそこまでやってきているのかもしれません。

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