「教育✕IT」で未来が変わる。次世代の先生に求められる力とは? 株式会社マナボ三橋克仁さん(前編)

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アナログな体制が多いと言われる教育の世界。そんな中、教育とテクノロジーを融合させ、教育の分野に新しいイノベーションを起こすビジネス領域が存在します。それが、「EdTech(エドテック)」です。Education×Technologyから生まれた造語で、教育の可能性を広げるキーワードとして取り上げられることも少なくありません。今回お話を伺ったのは、まさに「EdTech」の分野で活路を見出している株式会社マナボの代表取締役、三橋克仁さん。子どもたちの勉強をサポートするITサービス『manabo』と、これを活かした先生との連携について詳しく教えていただきました!

目次

分からない問題をリアルタイムで解決!先生のスーパーサブ『manabo』の魅力

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    うさぎ

    まずは、『manabo』の特徴について教えてください。

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    三橋さん

    『manabo』は、生徒が分からない問題にぶつかった時、該当の科目を得意分野とするチューター(講師)がスマートフォンなどを通してその場ですぐに指導をするサービスです。生徒(登録者)が分からない問題をスマホで撮影し、『manabo』に質問すると、答えがわかるチューターが立候補します。質問をした生徒は、その中から自分に合うと思うチューターを選び、即座に指導が開始する仕組みです。

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    うさぎ

    自習をしていると、分からない問題があってもすぐに先生に質問をすることはできないですものね。そんなときに即座に教えてもらえるなんて、近未来的です。

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    三橋さん

    『manabo』に登録している大学生のチューターは全国に2,000人以上。それぞれが自由な時間にログインしているので、試験勉強中の夜遅い時間でも、比較的すぐに指導がスタートできるようになっているんですよ。

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    うさぎ

    受験生や試験前の生徒は夜に家でも勉強をしているので、疑問を翌日に持ち込まないで済むのは嬉しいですね。とはいえ、スマホ一つで分かりやすい解説をするのはなかなか意思疎通が難しそうな気もしますが…解説する際の仕組みは、どのようにできているのですか?

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    三橋さん

    『manabo』では、チャット、無料通話、ホワイトボード、画像共有といった、4種類の方法でのやり取りが出来るんです。例えば、生徒が図書館や自習室にいて、声を出せない場合は、チューターが音声で説明をしながら、生徒はチャット機能で返事をすることも可能です。また、数学などの図形やグラフでの説明が必要な科目では、チューターがホワイトボード機能を使用して書くグラフなどを、生徒がリアルタイムで見ながら学ぶことができます。

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    うさぎ

    離れていても、面と向かって指導を受けているのと同じ環境を『manabo』上で再現できているのですね。まさに、「EdTech」の好例のように感じます。

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    三橋さん

    人材不足などの問題で、地方の学習塾では一人の講師が、専門分野以外の科目を塾生に指導している場合もあります。すると、講師の専門外で、かつ難易度の高い問題が出てきた時に、生徒に十分な解説がしてあげられずに、歯がゆい思いをしてしまうこともありますよね。そういった先生の苦悩を解消し、生徒の要望に応えるためにも、『manabo』が活用できるんですよ。

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    うさぎ

    生徒が個人で『manabo』を登録する以外にも、学習塾などの法人で活用する方法もあるのですね。

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    三橋さん

    問題につまずいた時にだけサポートするのが、『manabo』の特徴です。家庭や自習室などで学校や塾の宿題をしていてその場に先生が居ない時にも『manabo』を使い、普段の学びの場の「スーパーサブ」として活用してほしいですね。実際に、学習塾の自習室に『manabo』を導入していただいている事例もあります。「必要なときにだけ、専門の塾講師を雇っているような感覚」と感想もいただいているんですよ。

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    うさぎ

    一見すると、『manabo』は学習塾に競合するサービスに思われてしまいそうですが、そのような友好な協力関係が結ばれているのですね!ところで、『manabo』ではレベルの高いチューターさんをどのように集めているのですか?

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    『manabo』に登録しているチューターのほとんどは、名門大学に在籍し、得意科目を持っている大学生です。さらに、指導が終わると、質問をした生徒がチューターを星の数で評価することになっていて、それがチューターの成績となります。チューターを選ぶときに生徒はそれぞれのチューターの評価を確認できるので、チューターも自分を指名してもらう機会が増えるように、より分かりやすく、高評価な指導を目指すという訳です。

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    うさぎ

    生徒もチューターも納得できる仕組みが成り立っているのですね。質の高い指導が維持されているなら、子どもを任せる保護者の方も安心ですね。

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進歩する世の中で先生が求められる真の力とは?

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    うさぎ

    三橋さんは「EdTech」の可能性を感じて『manabo』のサービスを始められたと思うのですが、今後の教育の分野におけるITの活かし方について、考えていることはありますか?

  • manabo_mihashi

    三橋さん

    現在の学校教育は、「全員が一定レベルの能力を身に付ける」ことを目的にして作られた環境基盤の元に成り立っています。しかし、今後求められるのは「それぞれの力を伸ばす」ような、多様性を重視した教育のスタイルです。例えば、勉強のモチベーションを上げるための指導は、モチベーションの低い生徒にだけするべきで、元々学ぶ意欲のある生徒には、そんな教育は必要ないですよね。

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    うさぎ

    教育に関わる方々にインタビューをさせていただくと、多くの方が「多様性」をキーワードにされていることを実感します。たくさんの生徒がいる中で、一人ひとりに合った学びをするために、ITではどんなことができるのでしょうか?

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    三橋さん

    例えば、『manabo』上で毎日行われている指導の内容をデータとして蓄積していくと、ある程度の指導のパターンが見えてきます。そこで、同じ内容の質問が寄せられた時に、過去の指導データを再利用する仕組みを作る予定です。すると、生徒が学びたい内容を、自由に選び取って学べるシステムを作れるようになるかもしれません。

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    うさぎ

    新しい質問が生徒から寄せられるたびに、さまざまなパターンの指導内容のデータが蓄積されていくということですね!

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    三橋さん

    そうですね。こうして、今後はどんどん「知りたい情報を選んで学べる」教育が実現可能になってくるはずです。『manabo』が目指すのは、まさにそんな世界。100年後の未来には、教室で先生がみんなの前に立って同じ内容を大勢に教えるのではなく、それぞれがその時に学ぶべき内容を選びながら、多様性のある能力を伸ばしていけるような環境を作っていくことを目指しています。

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    うさぎ

    ここで疑問が浮かんだのですが……。そのように指導のノウハウがデータ化されていくと、現在先生方が現場で行っていることはもはや不要になるのでしょうか?先生方に求められる力は、未来に向けてどのように変化していくのかを教えていただきたいです。

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    三橋さん

    先生は、徐々に「インストラクター」のような役割になっていくと思います。つまり、生徒一人ひとりの状況を見極めて、学ぶ内容自体ではなく「君はこれとこれとこれを今は学んだほうがいいよね」と、何を学ぶべきなのかを提案してあげられる力が求められるようになっていくと思います。

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    うさぎ

    どんなにITが発展しても、人対人として生徒を見ながら、一人ひとりの微妙な変化や個性を見極めるのは、生身の先生がまだまだ必要なんですね。最後に、教育の現場にITの技術を取り入れることの重要性についてお話を伺いたいです!

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    三橋さん

    先程もお話しましたが、現在の教育の制度は、全員が同じ力を身につけることを目指した上で考案されたものです。しかし、日本が今求めているのは、多様性のある人材。そもそも、子どもたちが教育を受ける環境自体が、時代のニーズから外れてしまっているんです。この状況を打開するためには、「教育にITを取り入れる」という姿勢よりも、「ITを使って教育の仕組みを変える」くらいの、教育の制度をまるっと変える大きな動きが本当は必要なのではないでしょうか?しかし、現場にいる先生方が制度を変えることなど、到底出来ないですよね。そこで、まずは「教育✕IT」に対する抵抗をなくすこと、良いと思ったものは、積極的に取り入れようとする姿勢が大事です。「他の学校がやっていない新しい技術を導入して話題になってやろう」くらいの、新しさや最先端に対するモチベーションを持っていてもらえると、教育の現場が変わるのではないでしょうか?

ITを駆使した社会は、今後もどんどん進歩していくでしょう。その中で、教育はいかに子どもたちの多様性を伸ばせる形に変化していけるか。まさに、ITの力で世界は大きく変わろうとしているのです。未来の先生のあり方を見通し、より一人ひとりの生徒を見つめる力をつけていくことが重要です。

後編では、三橋さんが『manabo』のサービスを始めることになった、幼少期から大学時代の出来事に迫ります。そこには、「教える」立場にもあった三橋さんの原体験が、ところどころに散りばめられていました。

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