小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)その5:効果的なプログラミング教育のために必要な条件とは

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今後の社会で活躍できる人材を育てるためには、「プログラミング教育」が重要なキーワードであると言われて久しい教育の世界。行政では、これに対してどのような議論がされているのでしょうか?文部科学省は、平成28年6月16日に「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議」を行いました。うさぎノート通信では、その内容を簡単にまとめ、記事にまとめてお届けします。今回は、「5.小学校における効果的なプログラミング教育のために必要な条件とは」についてのご説明です。

目次

プログラミング教育を効果的に普及させるために

今回行われた有識者会議での議論内容は、小学校で2020年(平成32年)からの実施が見込まれる、新しい教育課程での活用を目指したものです。そのためには、プログラミング教育の趣旨に関する情報発信や実践例の蓄積と普及を進めながら、ICT環境などの条件整備を計画的に行い、改善を重ねていく必要があります。これらの課題については、以下に詳しくまとめていきます。

1、ICT環境の整備

ICT環境については、学校や地域ごとの格差が大きいのが現状です。プログラミング教育を実施するためには、こうした現状を改善し、全ての小学校において必要な環境整備が進められることが重要です。

次期学習指導要領に向けた検討の中では、情報活用能力を育成する新しい教育課程を実現するため、最低限必要なICT環境とは何かを明確にし、全ての小学校において確実に整備を進めていくことが求められます。

具体的には、次期学習指導要領に基づく指導内容や学習活動を想定したノート型コンピュータ、タブレットの配備、無線LAN環境の整備、安全性の確保されたネットワークの構築などが考えられます。また、子供たちが頻繁に活用する思考ツールとICTを結びつけたアプリケーションの普及や活用なども重要です。

また、一人ひとりの児童の障害の状況に応じた確実な学びができるよう、ICT機器を効果的に活用した指導方法の開発なども重要です。

2、効果的なプログラミング教育を実現する教材の開発と教員研修等の在り方

効果的なプログラミング教育を実現するためには、各教科の指導内容を学びながら効果的にプログラミングを体験すること、各教科の「主体的・対話的で深い学び」として実現されるような教材の開発・改善が求められます。各教科での教育の強みとプログラミング教育の利点が結びつき、小学校教員が活用しやすい教材が開発されるよう、あらゆる分野の関係者が連携し、我が国の技術力と教育力を結集することが必要です。また、そうした教材や授業実践例が集積され、全ての教員や関係者が活用できるようなプログラミング教育のポータルサイトを構築していくことも有効かもしれません。

こうした教材や授業実践例は、教員研修にも活用しやすいものであると良いでしょう。民間で提供されているさまざまな機会も活用しながら、国や教育委員会による研修と各学校での校内研修が効果的に組み合わされ、教員の資質向上につなげていくことが重要です。加えて、教員がこうした新たな教育課題に対応できるよう、養成段階からの充実が進められることも望まれます。

また、教員の養成・研修にあたっては、ICTやアプリケーションの使い方そのものが目的ではなく、子どもたちに育む「プログラミング的思考」の意義や、質の高いプログラミング教育を実現するための授業の工夫や在り方についての研修が進められるべきです。必ずしも、コンピュータ科学の分野の高度な知識が必要というわけではありません。

3、指導体制の充実や社会との連携・協働

プログラミング教育の実施に当たっては、「社会に開かれた教育課程」の観点から、社会と連携・協働しながらさまざまな人的・物的資源を生かして実現していくことが必要です。

しかし、より効果的なプログラミング教育の実施のためには、既存の指導体制では対応が困難な場合も。担当教員の追加配置や専門人材の参画を含めた指導体制の充実を、「チームとしての学校」の在り方などを踏まえつつも、検討することが重要です。

また、質の高いプログラミング教育の実施や指導体制の確保には、社会との連携・協働が必要不可欠です。効果的なプログラミング教育の実施が、都市部だけではなく全国で偏りなく可能となるよう、官民連携したコンソーシアムなどを通じて体制を整えていくことが求められるでしょう。プログラミング教育の意義等を社会と学校が共有し、実施に当たって外部から学校をサポートしやすくするような体制を整備していくことが重要です。

加えて、意欲ある子どもたちが学習の成果を実感しながら学んでいくことができるよう、小学生を対象とした全国規模の各種大会等が開催されていくことも期待されています。

社会の現状から、教育の現場もプログラミング教育の重要性を受け入れ、着々と議論が進められているようです。今後、小学校で2020年(平成32年)に実施が見込まれる新しい教育課程に向けて、制度面での変化も少しずつあるかもしれません。文部科学省の動向には、先生として注目しておきたいものですね。

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