遺伝じゃない?子どもたちの運動神経を鍛える秘密

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子どもたち一人ひとりの適性はさまざま。勉強が得意な子もいれば、中には運動が苦手な子もちろんいるでしょう。とはいえ学校では、運動が苦手でも、体育の授業や運動会、体育祭などを通して、子どもたち全員が体を動かさなければならなりません。しかし、運動神経は実は遺伝ではなく、経験の違いによって差がでるものだと分かっています。ここでは運動神経を良くするポイントをご紹介。部活動やクラブチームの顧問をしている先生も参考にしてみてください。

目次

運動神経とは?遺伝するもの?

運動神経は、「運動が得意かどうか」を表現する時に使われがち。しかし本来は、「脳から身体中の筋肉へ動きの指令を送るための神経」のことを運動神経と呼びます。そして、これは親から子へ遺伝するものではありません。運動神経は生まれた時は誰しもほとんど同じ状態。成長するにつれて差がついてくる理由は、子どもたちそれぞれの運動の経験の違いによるものなのです。

よって、先生の知識と工夫次第で、子どもたちの運動神経を向上させることは可能です。

「運動神経が悪い」には改善できる理由がある

一般的に、「運動神経が悪い」と言われる原因は、以下の2つが関係している場合があります。

・運動をするための筋肉量が少ない
運動やスポーツをするには、筋肉がある程度ついていないと、走ったり、ボールを投げたりといった動作に体がついてきません。特に大事なのは、背中の周りの筋肉を主とする体幹と、足をしっかり動かすための股関節周りの筋肉です。この2つは、どんな運動をするのにも必要な筋肉。人間は体幹を使って、早く走ったり、ジャンプしたりします。股関節周りの筋肉も、歩いたり走ったりするのに必要です。体幹・股関節の筋肉を意識して使うことで、運動の基本となる体が作られます。

・運動の経験が少ない
身体を動かすためには、脳から適切な指示が手足に出て、動かす必要があります。思い通りに身体を動かすのには、運動をした経験と記憶が重要です。このような運動に関する記憶が残るのは、脳の中の小脳の部分。ここに記憶されたものは、その後時間が経っても、無意識に動かすことができます。よって、運動が苦手な子どもは小脳に運動の記憶が入っておらず、運動の経験が少ないことで、運動神経がないように見られてしまう傾向があります。しかし、運動経験を積んでいくことで、小脳に運動の経験が記憶され、運動神経は徐々に良くなっていきます。

そして、子どもたちの運動神経を良くするためには、「ゴールデンエイジ」と呼ばれる重要な期間があります。

子どもの運動神経を左右する「ゴールデンエイジ」って?

人の神経系の発達は、20歳を100%とした場合、5歳頃にはその約80%、12歳頃にはほぼ100%に達することが分かっています。運動神経の発達は、これに関連して3〜14歳頃までの「ゴールデンエイジ」が大きな影響をもたらします。

ゴールデンエイジにも年齢によってさらに段階があり、適した運動を行うことで、運動神経をより効果的に養うことが出来ます。

〈ゴールデンエイジの3つの期間〉
・プレゴールデンエイジ(3〜8歳)
さまざまな運動の動作を経験し、基礎的な運動の動作を身につけておくべき時期。思い通りに身体を動かすことがまだ難しく、右足を出そうとしても左足が出てしまうこともしばしばあります。この時期に、身体を動かすさまざまな遊びや、スポーツを子どもに経験させておくことが、もう少し成長してから効果を発揮します。

・ゴールデンエイジ(9〜11歳)
思い通りに身体を動かせるようになる時期。プレゴールデンエイジの時に身に経験した基本的な身体の動きが基盤にあるため、新しいスポーツや運動方法でも、動きを見ただけですぐに真似をできるようになります。また、身体の筋肉量などが増えることによって、今まで出来なかった動きが急に出来るようになるなど、運動の技術面とセンスの両方が一気に開花する可能性が高い時期でもあります。

・ポストゴールデンエイジ(12〜14歳)
身体の神経系の約9割が形成されているこの時期。運動神経の成長が止まるため、ゴールデンエイジのように急速に成長することが難しくなります。そこで大事になるのが反復練習です。一定のスポーツを続けている場合は、その時の技術レベルを維持しながら、反復練習を取り入れて基本的な動きの質を高めていくことが重要になります。頭脳も成長してきているので、「考えながら身体を動かして練習する」など、今までよりも高度なトレーニングを取り入れるのもいいでしょう。

先生が運動神経の発達を子どもたちに促すためには、まずこれらのことを知って、さらに身体を動かすことの楽しさや素晴らしさを感じさせることも重要になってきます。工夫をして、子どもたちが積極的に運動ができる環境を作ってあげるよう心がけましょう。