生徒の心を開かせるキーワード「ラポール」って?

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生徒との心の距離を縮めることは、先生にとって授業の他に重要な課題のひとつです。生徒にとって、信じられる先生との出会いは、その後の人生においてもかなり大きな影響力を持つはず。しかし、思春期の生徒は特に、先生がどれほど頑張っても、距離を縮めるのはなかなか難しいものです。そこで、今回は心理学で使われる「ラポール」という関係性について取り上げ、先生と生徒が心の距離を通わせるためのポイントをご紹介していきます。

目次

心の距離を縮めるキーワード「ラポール」って?

ラポールとは、心理学用語で「親密な関係」や「信頼関係」を意味する言葉です。本来は、何もしなくてもふと心が通じ合う「精神感応」と呼ばれる状態のことを示した言葉から、現在の使われ方に変化していきました。

よって、人と人との間に信頼関係が出来上がっていて、ストレスのない状態ha
「ラポールが形成されている」といえます。これは、先生と生徒の関係性でも重要なのは言うまでもありません。

では、ラポールを形成するためには、どのような方法があるのでしょうか?

大事なのは「相手に触れる感覚」

ラポールの示す信頼関係とは、「約束を守る」などの事実に基づくことではなく、もっと感覚的な、相手に対する無意識の安心感のようなものが元になっています。

すぐにできる簡単な方法は、イメージの中で、両手を伸ばして、相手の両肩に手を触れること。そうすると、自然と相手に対する態度が柔らかくなり、話し方や表情の作り方など、言葉では表現し難い細かいサインが変化するのです。
ここでポイントとなるのは、相手の肩に手を乗せている「感触」をリアルにイメージすることです。なぜなら、人間の潜在意識はリアルに想像したことと、現実に起こったことを区別することができないため。潜在意識に相手のことを大事に思っていることをインプットすることで、自然としぐさが変わっていきます。

人間は、無意識のうちに相手の態度を見て、自分の態度を決めているそう。潜在意識の中で相手に触れている状態をイメージし、相手に対して好意的な気持ちを自然とこちらが持っている状態にできれば、相手も心を開いてくれるでしょう。

また、他にもラポール形成のために効果的だと言われてきたテクニックがいくつかあります。

■ミラーリング
相手のしぐさや姿勢を、まるで鏡に映しているように真似するテクニック。例えば、生徒が話している時に教科書を開いたら、先生もノートや指導書などを開くなどといったことが挙げられます。
気の合う友人同士や、長年連れ添った夫婦のしぐさなどをよく観察してみると、自然とこのミラーリングが行われていることがあります。もともと、心を許した人とはしぐさが似てくるという事実があるためです。ただ、ミラーリングは相手に気づかれてしまうと、かえって「真似されている」と不信感を抱かせてしまう危険性もあるので、加減が必要です。

■ペーシング
ミラーリングが「しぐさ」を真似るものに対して、これは相手の話し方やリズムを合わせるテクニック。相手の話し方がゆっくりならばこちらもゆっくりと話し、早口ならばこちらも早口で話します。この時に、相手の肩や胸の動きに注目し、呼吸のリズムを合わせるようにすると効果的です。相手の話をよく聞き、できだけたくさん話してもらうようにしましょう。

■キャリブレーション
これは、相手の心理状態を言葉以外のサインで認識するテクニック。姿勢や呼吸、表情、声のトーンなどで、相手の状態を判断します。例えば、相手が口では「大丈夫」と言っていても、とても疲れている時は声のトーンや顔色などからそれが分かることもあるはず。これらのサインを読み取り、気遣うのがキャリブレーションです。言葉では現れない小さな変化から相手の気持ちを読み取ることで、相手は信頼感を持ちやすくなります。

■バックトラッキング
これは、いわゆるオウム返しのこと。相手の言ったことをこちらも繰り返して言うことで、相手の話を聞いていて、受け止めていることを伝えます。特に、相手が話を聞いてほしい時に活用するとより効果的。相手の言ったことをそのまま言い返すだけではなく、少し言葉を変えて自然に言い返すと自然に聞こえます。

進路相談や個人面談で、生徒と1対1で話す機会に、これらの方法を活用してみてはいかがでしょうか?ラポールを形成して、生徒との心からの信頼関係を結んでいく工夫も大切です。