ユニークな教育スタイルの起源はどこに?名物先生「ぬまっち」の人生 (番外編)

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子どもたちのやる気を引き出すアクティブ・ラーニングの授業で注目を集める、ぬまっちこと沼田晶弘先生。「ダンシング掃除」や「プロジェクト制」のクラス運営など、斬新とも思えるその教育スタイルはどのように確立されたのでしょうか?今回は、そんな沼田先生が小学校で教えはじめるまでの軌跡を辿ります。

目次

「先生になろう」という気持ちがあったわけではないんです

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    うさぎ

    そもそも沼田先生は、いつごろから先生になることを目指しはじめたのですか?

  • numata

    沼田先生

    実は、先生になろうとは全然思っていなかったんですよ。ただ、大学進学を考えた時に、一番自分の希望に合っていて入りやすかったのが学芸大学の保健体育専攻だったんです。そしてここを卒業すれば、必然的に小学校の教員免許が取れるシステムなんです。

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    うさぎ

    それは意外でした……。では、学校の先生に対してはどんなイメージを持っていたのでしょうか?

  • numata

    沼田先生

    特にこれといった思い入れは無かったですね。大嫌いでもなかったし、すごく好きな先生がいたわけでもありませんでした。

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    うさぎ

    それが、沼田先生が子どもたちに「学校時代の思い出を残してあげたい」と強く思うようになった理由の一つかもしれませんね。では、今こうして先生として子どもたちに教えるようになったきっかけは何だったのですか?

  • numata

    沼田先生

    大学時代に、ずっと塾講師のアルバイトをしていたんです。その理由も、アルバイトでお金を貯めて、外車を買いたいからとか単純な理由で(笑)。ただ、その頃に今の教え方のスタイルの基となるものを確立したのは確かです。

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    うさぎ

    ということは、沼田先生のアクティブ・ラーニングの起源は、大学時代からすでに生まれていたんですね!

  • numata

    沼田先生

    もともと明るい性格だったこともあり、塾生には結構人気があって(笑)。そうなってくると受け持つクラス数も増えるので、だんだん忙しくなって、大学との両立が難しくなってきたんです。どうしたもんかと思った時に、「生徒に授業をやってもらえばいいんだ」って思いついたんですよね。

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    うさぎ

    まさに、子どもたちが自主的に活動する今の沼田先生の教育法に近い形ですね。

  • numata

    沼田先生

    そうです。結構これが好評でした。その頃に生徒たちとの間ではこんな茶番劇がありました。僕が英語の授業を受け持っていて、生徒に「これ訳してみて」と言うと「先生のお手本が知りたいでーす」って言われるんですよ。で、「いやいやそれじゃ君たちの実力がつかないよ」と言うと、みんな結構鋭くて、「そんなこと言って先生が授業の予習してないだけでしょ!」って怒られちゃったりね(笑)

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    うさぎ

    そんな生徒との親しげな掛け合いをできるのは沼田先生の元々のお人柄ですよね。先生というお仕事がやっぱり向いていたとしか思えないです。その後はどのようなキャリアに進まれたんですか?

  • numata

    沼田先生

    それが、この時もまだ「先生になろう」という考えは無かったんですよ。

自分自身すら予想外のアメリカ留学へ

  • numata

    沼田先生

    大学時代に所属していた研究室の関係で、アメリカの大学院に誘ってもらったんです。しかし、当時の僕としてはそんなこと全然考えたことがなくって。内心では誰かに止めてほしくて、いろんな人に相談しました。でも、ことごとくGOサインなんですよね。決め手となったのは、父に「アメリカの大学院なんて、行きたくても行けない人もいるんだから」と言われたことでした。これで腑に落ちて、英語もまともに話せないのにアメリカに渡ることにしたんです。

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    うさぎ

    一般的な小学校の先生とはまた大きく異るキャリアですね……。アメリカではどんな風に過ごしてきたのでしょうか?

  • numata

    沼田先生

    語学クラスを取りつつ、大学院に2年在籍してスポーツ経営学の修士課程を修了し、その後は同じ大学で職員として働いていました。しかし、信頼していたボスが引退することになって「日本に帰るなら今だぞ」とその人に言われたんです。

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    うさぎ

    その頃は、日本に帰りたいという気持ちはあったんですか?

  • numata

    沼田先生

    全くありませんでしたね。でも、今帰らなかったらずっとアメリカでの生活をすることになるなと思った時に、迷っている自分もいました。そこで、アメリカを離れる決心をしたんです。実は大学院を卒業した際に、現地のアメリカで日本の大手企業が採用活動をするキャリアフォーラムがあって、某大手商社の内定も頂いていました。でも、そのボスと働きたいがために断ってしまったんです。結果、そのあとすぐに日本に帰国することにしたので、あの時就職していたら今の約10倍の給料になっていたかもなぁ…(笑)

帰国後、再び日本の教育現場に戻り「ぬまっち」になる

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    うさぎ

    4年間のアメリカ生活を終え、帰国後はどんなことをなさっていたんですか?

  • numata

    沼田先生

    帰国を決めた頃に、愛知の短期大学に講師として声をかけてもらっていました。そこで働いていた頃は、学生とはうまくいっていたのですが、誘ってくれた上司がいなくなってしまってこともあり、同僚とはあまりうまくいかなかった。
    1年経って、再び東京に戻った頃にはストレスで激太りしていて、血圧がひどいことになっていました(笑)だから、地元の多摩川の河川敷を毎朝ジョギングして、なんとか減量に成功しましたよ。

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    うさぎ

    やはり周りからすると、一風変わった指導法を持つ沼田先生のことを目の敵にする人もいたのでしょうね。東京に戻ってからはどんなことを?

  • numata

    沼田先生

    再び、塾講師の仕事を始めました。もともと大学院に進む前は塾で働こうと思っていたんです。そんなある時、今の学芸大学附属小学校から声がかかったんですよ。学校の先生が足りないから、初めは補助教員してきてほしいと。

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    うさぎ

    ここから「ぬまっち」としてのキャリアがスタートするわけですね。それまで塾講師のお仕事でも、小学生を教えることは多かったのですか?

  • numata

    沼田先生

    全然ですよ。メインは中学生でしたね。それに、学校の先生になるつもりなんて当時も全くなかったので、今の学校で教えるとなった時に、まずは教員免許が家のどこにあるかを探すところから始まりました。大学を卒業した時にもらったはずなんですが、そもそも教員免許をもらった記憶すらなくって(笑)

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    うさぎ

    それが、今では「名物先生」として大活躍されているからすごいですよね!先ほど、塾講師時代に今の授業スタイルの元となる方法を確立したとおっしゃっていましたが、それをどうやって進化させていったのですか?

  • numata

    沼田先生

    いろいろな教え方を試していくうちに、うまくいった方法をアップデートして今の形があります。僕が東京に戻ってきたのは、29歳の時でした。一般的な学校の先生の29歳といえば、もうある程度中堅くらいのキャリアですよね。でも、僕は今年で教師生活がやっと10年目になったくらいで、先生としては遅めのキャリアのスタートだったんです。学校教育に対しての固定概念があまりないのが強みだったのかもしれませんね。

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    うさぎ

    ご自身の意志とはまた違った形で小学校の先生になられた訳ですが、目指したい将来像とのギャップはなかったのですか……?

  • numata

    沼田先生

    もともと「人に話して影響を与える人になりたい」とはずっと思っていました。だとしたら、弁護士か先生か、はたまた芸人が向いているんじゃないかなと(笑)普通に考えて、この中だったら先生になるが一番現実的ですよね。

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    うさぎ

    では、結局今の先生のお仕事が天職だった、という訳ですね!

  • numata

    沼田先生

    そうですね。紆余曲折の人生を歩んできましたが、今こうして小学校の先生としての選んだことに後悔はしてないし、誇りに思っています。

一般的な学校の先生よりも遅い年齢から「小学校の先生」としてのキャリアをスタートさせた沼田先生。しかし、こうして先生自身がさまざまな経験をしてきたことが、子どもの視野を広げるために大事な要素の一つとなっているのかもしれません。常に新しいことに挑戦していく沼田先生の今後のご活躍も楽しみです!

沼田先生は書籍も出版されています!
koekake
『子どもが伸びる「声かけ」の正体 (角川新書)』
沼田 晶弘

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