学校で動物を飼うことがもたらす生徒の成長

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生き物と一緒に過ごすことで、人間にはさまざまなメリットがあります。心の発達の真っ只中である生徒たちにとっては特に、生き物との生活は多くのことを学べる機会でもあります。夫婦共働きや核家族化、マンション住まいなどが理由で、家ではペットを飼えない家庭もあるため、学校生活で生き物と触れ合うことは、生徒にとって大事な経験になります。学校で生き物を飼うことの意義や、生き物の選び方のポイントをまとめました。

目次

生徒の心を育てる「学校飼育動物」とは?

愛玩動物でも家畜でもなく、子どもの教育のため、成長を助けるために学校で飼育されている動物のことを「学校飼育動物」といいます。動物を飼育することで生徒が成長する教育的効果はさまざま。代表的なものとしては、

・他者を愛する心が育つ
・自分への肯定感・自尊心が養われる
・生命尊重・責任感が培われる
・謙虚さを知る
・仲間と協力して飼育することでチームワークを学ぶ
・他者への思いやり・共感が養われる
・日常への科学的視点を持つ
・ハプニングへの対応力が高まる
・マザリング効果(擬似育児体験)

などがあります。また、このような経験を生徒にさせるためには、生き物の感情が分かるような哺乳類や愛玩鳥などが適しています。さらに、特定の動物を長く飼育することで、生徒に愛着を抱かせるのもポイントです。

教室で動物を飼うと生徒が穏やかになる?

実際に教室で生き物を飼育すると、クラス全体の雰囲気が良くなり、先生のクラス運営もしやすくなるという報告が多く上がっているようです。東京のとある小学校では、ハムスターを教室で飼いはじめ、繁殖して数が増えたので他の教室にも分けて飼っていました。すると、生徒たちがハムスターをかわいがって世話をしはじめた影響から、だんだんと学校が和やかな雰囲気になっていったそう。他にも、クラスで飼っていた動物が死んでしまった際に、生徒たちがその動物との思い出に感謝する紙芝居を作り、学校中のクラスで鑑賞したという例もあります。

このように、クラスで動物を飼育することは、動物を愛する気持ちや、分担して世話をする力、命の大切さなどを学ぶことができ、さらにはクラスの雰囲気をも良くするきっかけにもなるのです。

学校で飼育する動物の種類

学校で生き物を飼育する目的には、以下のようにいくつかの分類があります。

・愛情飼育:動物への愛情を培うために世話をする
・理科飼育:理科の授業での観察飼育
・家畜飼育:人との生活のかかわりを理解させる
・展示飼育:めずらしい動物を見せる
この中で学校飼育動物では、愛情飼育が主な目的です。

動物の気持ちになってさまざまなことを考えながら、生徒たちの身近な存在として丁寧に、死ぬまで生き物を飼育するには、掃除しやすい飼育舎で、世話の負担が多すぎない生き物を選ぶ必要があります。

文部科学省では、平成15年4月に教師用手引き「学校における望ましい動物飼育のあり方」を作成し、全国の国公私立の全幼稚園、小学校、盲・聾・養護学校に配付しました。この冊子の中で飼育法が取り上げられているのは「チャボ・ニワトリ」「ハムスター」「モルモット」「ウサギ」。学校飼育動物の定番とも言える動物たちです。

ハムスター以外のチャボ・ニワトリ、モルモット、ウサギは、各クラスというよりも、学校全体での飼育に適した生き物です。これらは一人の先生の判断で飼育・管理ができる生き物ではありませんが、クラス単位で飼育する生き物は、ある程度担任の先生の責任で自由度が高い場合が多いでしょう。
ここで、先生が覚えておきたい生き物を選ぶ際のポイントがあります。

クラスで飼育する生き物の選択基準

ハムスターの他には、教室内では以下のような観点で飼育する生き物を選ぶと良いでしょう。

・比較的丈夫な生き物
・環境の急な変化でも大丈夫な適応力のある生き物
・エサ代が比較的かからない生き物
・エサが手に入りやすい生き物
・多少生徒に遊ばれても平気な生き物
・世話手間があまりかからない生き物
・狭い飼育ケースでも育てられる生き物

学校のある地域の気候や教室の環境などを考慮したうえで、昆虫や魚、両生類などを飼育することもできます。教室で何か生き物を飼おうと考えている先生は、候補を上げてから生徒に多数決をとったり、意見を求めたりして、クラスのみんなで決めるのもおすすめです。

また、生き物を飼育する際は、生徒の中で生き物係を決め、交代で世話をさせるようにしますが、最終責任は担任である先生が取るという意識を持っておくことが大事です。命を育てることの大切さを先生自ら自覚しながら、生徒たちが生き物と触れ合うことで大きく成長できる環境づくりを心がけましょう。