プールの授業に潜む危険から生徒を守るために

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気温が上がってくると、体育などの授業の一環でプールを使用する学校も多いと思います。普段の授業とは違った要因での、生徒のケガや病気の危険に配慮が必要なプールでの授業。生徒が安全に活動できる環境づくりのために、先生が確認しておくべき内容をまとめました。

目次

学校全体で共有できる「安全管理マニュアル」を

学校にあるプールの管理について、全ての先生がきちんと把握できているでしょうか?体育の授業に限らず、総合的な学習の時間やホームルームなどでも利用することがあるプール。必ずしも、体育の先生だけが監督をするわけではありません。学校のプールに関する安全管理は、これまでも一部の先生によって管理されているケースが多いことが問題視されてきました。

これでは、万が一プールで生徒に事故が起きた際に、学校として迅速で適切な対応をすることはなかなか難しくなってしまいます。そんな事態を防ぐためには、各学校ごとに「安全管理マニュアル」を作成しておくことが大切。

プール学習の時期が本格化する前に、学校ごとにこの「安全管理マニュアル」を作成し、全ての先生が同じ意識でプールでの事故の未然防止や、事故が起きた際の応急手当て、緊急連絡体制などを確認しておきましょう。

そのためには、プールの設備の安全点検の方法や、心肺蘇生法及びAED・酸素ボンベの使用方法の確認も必要になってきます。

プールで伝染する危険性のある病気に注意

プールでは大勢の生徒が一度に同じ水の中に入って活動するため、先生はケガ以外に伝染病のリスクにも気を配ることが重要です。ここで、プール学習を通して生徒間で伝染しやすい症状をご紹介します。

・プール熱(咽頭結膜熱)
アデノウイルスによって起こる病気。発熱、のどの腫れや痛み、結膜炎などの症状が起こります。プールの水などの塩素消毒の徹底と、プール使用後のうがいや洗顔、タオル類を貸し借りしないことで予防ができます。

・はやり目(流行性角結膜炎)
結膜だけでなく、眼球の表面を覆う角膜にも炎症が及ぶ症状の重い病気。プール熱と同じくアデノウイルスが原因となり、予防法も同じですが、接触による感染率が高いといわれます。そのため、特にタオル類の貸し借りは避けるようにしましょう。

・アポロ病(急性出血性結膜炎)
エンテロウイルスが原因で起こる病気。結膜や眼瞼(がんけい)の充血、腫脹(しゅちょう)のほかに、白眼の部分に出血が起こりやすい点も特徴です。見た目は重症に見えますが、視力障害などの後遺症を残すことはほとんどないといわれています。こちらの予防法もプール熱と同じです。

・みずいぼ(伝染性軟属腫)
白っぽく、光沢を帯びた1〜10mmの半球状の隆起が皮膚に発症し、よく見ると中央部にへこみがあります。ポックスウイルスによって起こる病気で、接触により感染します。タオル類の貸し借りを避けるほか、プールから上がったら十分にシャワーを浴びることが大事です。

プールで伝染する病気を予防する方法は、基本的に
・プールの水の消毒
・プールから出たあとのうがい、洗顔、シャワー
・バスタオルなどの貸し借りの禁止
で防ぐことができます。生徒たちにはこれらの重要性について説明し、しっかりと守るようにあらかじめ伝えておきましょう。

水から上がっても溺れる??「二次溺水」の可能性

ほかに、監督責任のある先生が知っておきたい「二次溺水」という症状も存在します。これは、水中で溺れかけた際に、なんとか危険から逃れて地面に上がったあとに起こるもの。溺れそうになると、パニックを起こしてたくさんの水を飲み込んでしまうことが多くありますが、この時に肺に入ってしまった水が原因となり、二次溺水は起こります。

水中にいないのに溺れることがある……と聞くと、あまり想像できないかもしれませんが、二次溺水の主な症状には、胸の痛み、せき、発熱、極度の疲労感などがあります。これらは水中で溺れかけてから、1〜24時間の間に発生するため、プールでの活動と関係があることに気づきにくいのが実情です。そのため、理由の分からない体調不良として放置していると、危険な事態に陥ってしまうことも……。

もしプールで溺れかけた生徒がいたら、その後無理に泳がせたりせずに、最低でも1時間は水には入れずに様子を見るようにしましょう。もし体調が優れないようであれば、早めに保健室や病院へ連れて行くことが大切です。

プールの時間を楽しみにしている生徒や、反対に苦手意識を持っている生徒など、それぞれプールに対する意識の持ち方や泳ぎのスキルは差があります。危険な事態を避け、生徒たちが安全に水と親しめるよう、監督者としての先生の配慮を忘れないようにしましょう。