もしかして違法?18歳からの選挙で先生が注意したいこと

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2016年の6月から、選挙権が20歳以上から18歳以上へと改正されました。これにより、高校生を含めた未成年が、直接政治に関わる権利が与えられたことになります。家族以外の生徒と最も近い大人である先生は、生徒に対する発言に大きな影響力を持っています。もちろんこれは、選挙に関する発言も例外ではありません。ところが、先生の話の内容によって生徒がどの候補者に投票するかを選択した場合、違法行為に当たる可能性も……。そこで、教育者として、一有権者として選挙に参加するために、先生が注意しなければならないポイントをまとめました。

目次

選挙で公立学校の先生が禁止されていること

高校生の生徒を持つ先生は、選挙に参加しようとしている生徒に対して、好意で政党や政治家の話をすることもあるでしょう。しかし、この時に注意しなければいけないことがあります。文部科学省の公式ホームページでも、過去に各都道府県・指定都市教育委員会教育長宛に、以下のような通知がされました。

「公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではなく、その政治的中立性を確保するとともに、行政の公正な運営の確保を図る必要があることは言うまでもありません。特に、教育公務員(校長、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、常勤及び再任用短時間勤務講師、実習助手、寄宿舎指導員)については、教育の政治的中立性の原則に基づき、学校において特定の政党の指示又は反対のために政治的活動をすることは禁止され、さらに選挙運動等の政治的行為の制限等についても公職選挙法及び教育公務員特例法に特別の定めがなされているところです。」(文部科学省『教職員等の選挙活動の禁止等について』より一部抜粋)

公務員である公立学校の先生は、この機会にしっかりと規定を把握しておく必要があります。そのためにも、禁止されている行為の具体的な例をご紹介します。

〈選挙に関する公務員の禁止行為〉
1 候補者の推薦等
例)
・特定の候補者の当選を図るため、PTA等の会合の席でその候補者の推薦を決定させる
・校長・教員の地位を利用して、投票の際の票の斡旋を行ったり、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与したりする
・特定の候補者を支持するため、校長・教員の地位を利用して、その候補者の後援団体を結成したり、その団体の構成員となることを勧誘する

2 投票の依頼又は勧誘
例)
・PTA等の会合の席上で特定の候補者へ投票するよう依頼する
・学校における児童・生徒及び保護者に対する面接指導の際、自分の支持する政党や候補者の名を挙げる
・家庭訪問の際に、特定の政党や候補者に投票するよう勧誘する
・選挙運動員として、候補者の自動車などに乗り、投票を呼びかける
・教職員としての地位を利用して電話で投票を依頼する

3 署名運動
例)
・特定の政党や候補者の名を挙げて、賛成又は反対の署名運動をする
・署名運動に協力するよう勧誘する

4 デモ行進
例)
・特定の政党又は候補者などを支持し又は反対するためのデモ行進のような示威運動を企て、指導し、又は援助する
・選挙運動のために、自動車を連ねたり、隊伍を組んで歩くなど気勢をはる

5 新聞、雑誌、ビラ等
例)
・特定の政党や候補者などを支持し又は反対するために書かれた新聞、雑誌、ビラ等に関して、次のような行為をする
1)発行すること。
2)回覧に供すること。
3)掲示し又は配布すること。
4)多数の人に朗読して聞かせること。
5)以上の用に供するために著作し又は編集すること。
・選挙運動用のポスターや葉書に推薦人として肩書を付して名前を連ねる

6 演説等
例)
・選挙運動のための個人演説会又は街頭で演説する
・不特定多数の人に対し、特定の政党や候補者を支持し又は反対する意見を述べる
・選挙運動のための個人演説会などで、ピケを張ったり、必要以上にやじったりして妨害する

7 資金カンパ
例)
特定の政党、候補者などを支持し若しくは反対するために資金カンパを求め、又はそのような資金カンパの計画立案に参与し、又はその集金を援助する

8 その他
・選挙運動のために放送設備(例えば校内放送設備)を使用する
・受持ちの児童生徒の保護者が候補者、選挙運動員又は有権者であるとき、担当教員である地位を利用して、これらの者を威迫する

新しい法案も提出済み 私立の先生も気をつけましょう!

さらに、選挙権の年齢が18歳まで引き下げられたことを踏まえ、2016年の5月には、自民党が『公立高校の教職員の政治活動を禁じる教育公務員特例法』を改正し、罰則の規定を設ける方針を固めました。早ければ秋の臨時国会に改正案を提出する予定とされています。

この改正案では、政治的行為の制限に違反した教職員に対して、「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」などの罰則を科することを想定しているそう。
また、これまで特に規定のなかった私立学校の先生への規制も検討されています。公務員ではないとはいえ、生徒に対して選挙活動に当たる行為は基本的には避けるべきです。

生徒に対する影響力が強い先生だからこそ、政治的中立性を保って、それぞれの生徒の意思で、支持する政党・候補者を選択させる義務があります。

若い世代の意見の反映が期待される今後の選挙。教育者として良かれと思って生徒にした行為が裏目に出ないよう、規定に関する注意を強めていくことが重要です。

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