意志の力を最大限に生かす – 『スタンフォードの自分を変える教室』から学ぶ教育論

Faculty lecture and workshop. Audience at the lecture hall. Academic education.

生きていくなかでは、困難を乗り越えないと達成できない目標や、難しい選択を迫られる瞬間がいくつかあります。そんなときに必要なのが、自分自身の強い意志。

しかし、これを貫いて行動することはそう簡単なことではありません。それでも肝心なときにこの「意志の力」を最大限に活かすためには、どんな心がけが必要なのでしょうか。

今回は、アメリカ合衆国のスタンフォード大学医学部で教鞭を取り、心理学者のケリー・マクゴニガル氏のベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』(だいわ文庫)から、先生の日々の習慣としてだけでなく、生徒にも推奨できる誘惑に負けやすい人や努力が長続きしない人に向けて、意志決定力を向上させる方法について紹介します。

目次

十分な睡眠時間と適度な運動を

自分自身が「こうありたい」と思い描いている理想の自分を実現するための意志を邪魔するのもまた、自分自身の甘えや怠惰です。

「ちょっとくらい大丈夫だろう」という自身の悪魔のささやきを沈め、目標に向かって正しい判断をするためには、心身ともにコンディションが整っていることが重要。

そのためには、十分な睡眠時間と、適度な運動、エネルギーを保てるような栄養素の充実した食事が重要です。特に睡眠については、6時間以下は「睡眠不足」にカテゴライズされるそう。

十分に睡眠時間が確保できていないと、人は自分を上手にコントロールすることが難しくなります。普段から正しい判断ができる自分であるために、自分自身をきちんといたわることが大前提です。

未来の自分に現実味持つ

「将来こうなりたい」という理想の自分を具体的にイメージをすることが大切です。多くの人は、未来の自分を今の自分と切り離して考えている場合が多いのだとか。

しかし、あなたが思い描く未来の自分像は、他の誰でもないあなた自身です。「こうだったらいいな」と漠然と考えるのではなく、理想の自分がそのときに何を感じるのか、どんな振る舞いをするのかについて、現実味を持ってしっかりと計画し、思い描くようにしましょう。

現在から未来の自分にタイムマシンで会いに行くようなイメージをしてみてください。そうすると、より具体的に理想像を描くことができます。

マイナス思考が意志力の発揮を促す

目標に向かって頑張っていたとしても、ついつい弱気になって「達成できなかったらどうしよう」とマイナス思考になってしまうこともあるでしょう。実は、この気持ちが目標を達成するためには大切です。

「自分はどんな場合に失敗するのか、どのようなプロセスを踏んでサボってしまうのかを具体的にイメージしてみましょう。すると、自然とそれを避けようとする気持ちが働きます。

とある実験でも、ランニングを続けるという課題を2つのグループに与えた場合、「これはこういうわけで効果的ですよ」とポジティブな情報を与えられたグループよりも、「あなたはどんなときにサボってしまうと思いますか?」と失敗するパターンを具体的にイメージさせられたグループの方が、ランニングを怠けずに続けることができたという結果が出ています。

失敗することに目を背けないことこそが、成功の秘訣だという証拠ですね。

いかがでしたか?

意志の力は、日々の心がけで維持しやすくできることが科学的にも実証されています。

今回ご紹介したポイントは、『スタンフォードの自分を変える教室』にさらに具体的に記されています。実際の実験データなども記載されているので、読んでいくうちにモチベーションも上がりそうですね。

先生自身の理想を実現するのにも有効ですし、生徒の目標を一緒に実現させる際のサポートにも活用してみてはいかがでしょうか。

【参考資料】
『スタンフォードの自分を変える教室』(著:ケリー・マクゴニガル/訳:神崎郎子/だいわ文庫)