生徒に当てはめて考えたい 発達心理学の代表例3つ

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学校の先生になる際に大学などで学ぶ発達心理学。著名な学者たちの研究成果から、人間が成長する仕組みや過程について学びます。科学的に立証されている内容だからこそ、生徒と向き合う際にとても有効なこれらの知識。もちろん学校教育に限らず、さまざまな分野のお稽古教室や塾、クラブでも生徒と向き合う際に役立つはずです。そこで今回は発達心理学の代表例を簡単にご紹介。塾やお稽古教室の先生方も、この機会にぜひ参考にしてみてください。

目次

エリクソンの「心理社会的発達論」

エリクソン(1902-1994)は「人間は生涯に渡って発達し続ける」という考えから、「心理社会的発達論」をまとめました。人間の一生(ライフサイクル)を8つに分け、それぞれの段階での課題を以下のように設定しています。

第Ⅰ期 乳児期 :基本的信頼 対 不信感
第Ⅱ期 幼児前期:自律性 対 恥・疑惑
第Ⅲ期 幼児後期:積極性 対 罪悪感
第Ⅳ期 児童期 :勤勉性 対 劣等感
第Ⅴ期 青年期 :同一性 対 同一性拡散
第Ⅵ期 初期成人期 :親密性 対 孤立
第Ⅶ期 成人期 :生殖性 対 自己停滞
第Ⅷ期 成熟期 :統合性 対 絶望

エリクソンは、この中でも人間にとって最も重要なのは「第Ⅴ期(青年期)」であるとしています。第Ⅴ期で獲得すべき発達課題は、「同一性」、つまり、自我同一性(アイデンティティ)の確立です。青年期とは思春期のこと。この時期にまさに直面する生徒と普段から接している先生も多いですよね。青年期で大切なのは、自分の価値観、将来の夢、希望の職業、自分らしさなどを見つけ、「自分」というものを確立していくこと。これができないと、自分が何者で、何をすべきか、何をしたいのかが分からない状態に陥ってしまうことに……。そうならないために生徒をサポートするのも、先生の重要な役目です。

また、青年期以外の年齢の生徒と接している先生も、自分の生徒が「心理社会的発達論」のどの時期に当てはまるのかを確認してみて、日々の接し方について今一度考えてみるのもいいかもしれません。

エビングハウスの「忘却曲線」

エビングハウス(1850−1909)は、人間の記憶が時間の経過によってどのように変化するのかを研究しました。縦軸に記憶率(忘却率)、横軸に時間を取ってグラフ化された曲線は、一般に『エビングハウスの忘却曲線』と呼ばれています。

忘却曲線から分かることは、学習内容を長期的な記憶として定着させるためには、「反復的な復習」と「知識の意味づけ・関連づけ」が重要になってくるということ。ただ単に復習を重ねるだけでなく、記憶した知識や情報を既存の知識や経験と関連付けたり、覚えやすい語呂合わせや身近なできごとと繋げて意味付けをしたりすることによって、記憶はより強化されることが、エビングハウスの研究によって科学的に立証されています。暗記項目の多い分野を担当している先生は特に、この忘却曲線について知っておくと有効です。

スキナーのオペラント条件付け

スキナー(1904−1990)は、ラットを使ったの実験から「報酬と罰」による「オペラント条件づけ(道具的条件づけ)」の原理を立証しました。

押すとえさが出てくる仕掛けのレバーがついた箱の中にラットを入れると、ラットはレバーを押すとえさが出ることを知らなくても、箱の中を動き回るうちに偶然レバーを触ってえさを得られることがあります。その偶然が何回か重なるうち、「条件付け」によって「レバーを押せばエサがもらえる」ということを学習するのです。これを「オペラント反応」といいます。

これは人間の学習にも応用できる反応。ラットの実験でレバーの押しに対してエサを与えることを「強化」、報酬であるえさを「強化子」とすると、同じように教育をする際にも目標を達成する度に強化子となるご褒美を生徒に与えることで、生徒は目標に向かって意欲的に努力するようになります。そしてこれは反対の状況にも応用でき、生徒が悪い行いをしたことに対して何かの罰を与えたり、ご褒美を与えないことを続ける「消去」を行ったりするのも「強化」の一種です。その中で「これをやったら良くないことが起きる」という学習をし、だんだんと間違った行動を起こさなくなります。
しかし教育に関する「ご褒美」や「体罰」については賛否両論あるので、どんな場合でもオペラント条件付けが最善というわけではないことも注意しておきましょう。

参考になったでしょうか?発達心理学には、他にも生徒を伸ばすために役立つ研究結果が数多く含まれています。興味を持ったらこの機会にもう少し深堀りしてみると、普段の現場に役立てられるヒントが見つかるかもしれません。