仲間同士の助け合い「ピア・サポート」でよりよい学校生活を築くには?

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先生がどんなに生徒たちのことを大事に思っていても、クラス内での生徒同士の人間関係や、その年代の子どもたちならではの悩みなど、大人にはなかなか解決できない問題や、気軽に踏み込んでしまうと取り返しのつかない結果になりかねない繊細な部分などもあります。このように、学校運営には生徒たち自身で解決しなければならないこともあるのが難しい点。そこで知っておきたいのが、同じ立場の仲間同士で支え合う「ピア・サポート」の取り組みです。今回は日本学校教育相談学会(JASCG)の資料を元に、「ピア・サポート」の基本事項と成果の例をまとめました。

目次

支え「合う」ことが重要な「ピア・サポート」

「ピア・サポート」とは、同年代の仲間を意味する「Peer」と、助けることを意味する「Support」が組み合わせられた言葉。よって、そのまま訳すと「仲間を支える」といった意味ですが、実際には片方が支えて、もう片方が支えてもらうような一方通行の関係ではなく、同じような境遇にある仲間同士が支え合うものです。

特に、心身障害や病気などを患っている人同士での「ピア・サポート」の取り組みが活発に行われていますが、一部の学校や大学でも、学生や生徒同士が学校生活の中で生じる様々な問題に対処するために「ピア・サポート」を取り入れています。

日本の教育における「ピア・サポート」

日本の学校教育では、1990年台の後半から「ピア・サポート」が活用されるようになりました。組織としては、日本学校教育相談学会から「日本ピア・サポート学会」も誕生。「学校教育活動の一環として、教師の指導・援助のもとに、子どもたちがお互いに思いやり、助け合い、支え合う人間関係を育むために行う学習活動であり、そのことがやがては思いやりのある学校風土の醸成につながることを目的にする」と定義しています。

「ピア・サポート」が重要視される背景とは?

「ピア・サポート」が日本の教育の現場で重要視されるようになった背景には、さまざまな課題があります。近年の学校環境では、いじめや不登校をはじめ、対人関係の問題から日常の学校生活を送れない生徒が増加。子どもたちの対人関係育成能力の不足により、集団に入れない子どもや孤立する子ども、自己主張できない子ども、キレる子どもなどが増えています。特に思春期を迎えた子どもたちは、社会の急激な変化を受けて、状況はますます複雑化している状況です。

先生だけの力ではカバーしきれない繊細な部分もある中で、「ピア・サポート」による仲間の支援を受けることは、問題が起きる前の予防的な活動としての意味も大きいと考えられています。

学校における「ピア・サポート」の成果

実際に、学校現場での「ピア・サポート」の活動を通して以下のことが明らかになりました。

・悩みや困りごとの多くは、仲間同士で解決していることが多い
・子どもの傷つきは子どもの中で癒される
・子どもは大人以上の力をもっている
・人は人を支援するなかで成長する

生徒たちが「ピア・サポート」の活動で学んだ支援のスキルを活用し、援助活動を体験することで、人間関係や心に対して関心を持つようになり、周囲の役に立つ自分を再発見し、積極的に学校生活に取り組むようになります。これによって不登校やいじめ問題の予防や、学力の向上にも成果を挙げています。

また、先生も子どもたちの持つ力を信頼し、先生のサポートのもとに「ピア・サポート」の活動を進めることによって、先生と生徒の信頼関係、生徒同士の人間関係が豊かになり、充実した学校生活を生み出す大きな機会にもなっています。

生徒間の問題などを全て先生が間に入って解決しようとするのは、先生側の負担にもなってしまう上、かえって状況が悪化してしまうことも……。「ピア・サポート」を上手く活用することによって、悩みを抱える生徒たちを少しでも減らしていける好循環を作りたいものですね。