子どもの「食べる力」を養う。第三次食育推進計画とは?

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近年、孤食や朝食の欠食率の多さなど、子どもの食生活の乱れが問題になっています。食育はこれまで着実に推進されてきた一方で、食を取り巻く環境の変化への対処には、まだまだ課題が残っているのも事実です。今後は、より一層学校や地域、社会が連携して、食育の環を広げていくことが必要になっていきます。そこで今回は、平成28年より「第三次食育推進基本計画」をご紹介。食における5つの重要課題を柱に、5年にわたって推進していく取り組みの内容についてまとめました。

目次

課題1:若い世代を中心とした食育の推進

20~30代の若い世代は、食に関する知識や関心が他の世代に比べて低く、朝食の欠食や偏食のような課題を抱えています。

食べることとは、心と身体の健康を維持することに繋がります。特に朝食は1日の活動の準備をするために、寝ているときに低下した体温を上昇させる働きがあります。児童や生徒に関しては、朝食を摂る生徒の方がそうでない生徒に比べて学力調査での正答率や体力テストの合計点が高いとの結果が出ています。
こうした食事の重要性や食べることの楽しさを理解することが、「第三次食育推進基本計画」の目指す方向です。

東京都では、偏食をなくすため親子で参加できる料理イベントを開催。地域の企業や団体を巻き込み、野菜を好きになるようなレシピを教えたり、実際に魚を見たり触ったりしながら魚についての知識を身に付けるなど、食育活動を継続的に行うように取り組んでいます。

課題2:多様な暮らしに対応した食育の推進

夫婦共働きが一般的になった今の時代、子どもが家で一人でご飯を食べることになるケースも少なくありません。しかし、家族や友人と一緒に料理を作ったり、準備や後片付けを行うことで、食べることへの関心を持つきっかけにもなります。

「第三次食育推進基本計画」では、誰かと一緒に食事をする「共食」の機会を提供する食育の推進を行っています。

取り組みのひとつが「子ども食堂」。孤食の子どもを支援する動きが広がっています。沖縄県にある「てぃーだこども食堂」では週に一度、地域の大人と子どもが一緒に食事を作って食べる機会作りや、心に残る思い出作りとして月ごとにバーベキューや餅つきなどのイベントを開催。こうした取り組みの中で、地域での児童の見守り体制が整いつつあります。地域の大人も子ども食堂で子どもたちと接することにより、身近な問題として意識するようになったり、自治体や地域協力者と若い世代が繋がったりと、成果が出てきています。

課題3:健康寿命の延伸につながる食育の推進

日本人の死因の約6割を占めているといわれる生活習慣病。子どものうちからこれを予防するためにも、食育の推進が期待されています。学校給食では定められた所要栄養量の基準に従い、バランスのとれた食事が提供されますが、学校の外に出てしまうと先生は管理しきれません。

家庭や学校だけではなく、生徒自身で食べ物を選択し、食事作りをする力をつけるためにも、栄養成分の記載や、主食・副食・副菜など栄養バランスの記載された「食事バランスガイド」を活用し、意識を実践につなげるサポートをしていく取り組みがされています。

課題4:食の循環や環境を意識した食育の推進

日本の食料自給率は約4割。ほとんどの食べ物を海外からの輸入に頼っています。それにも関わらず、日本では大量の食品が廃棄されているのが悲しい現状。廃棄される食品の量は年間642万tにも及び、家庭からは312万tもの不必要な食品が出ています。
食べ物が食卓に届くまでの、生産から消費までの循環を理解し、食べ物に対しての感謝や「もったいない」という意識をつけることで、を不必要に廃棄されてしまう食品を削減することが「第三次食育推進計画」の目的でもあります。

農業体験や教育ファーム、体験農園など、実際に生産現場に行く動きは学校外でも増えてきています。農林水産省では「教育ファーム大作戦」として、農業や食文化に関する体験活動をより多くの学校で実践できるような教材を制作し、主に小学生を対象とした取り組みを行っています。

課題5:食文化の継承に向けた食育の推進

平成25年に、「和食(日本の伝統的な食文化)」がユネスコ無形文化遺産へ登録されました。今や生活の中から失われつつある日本食ですが、元々は日本の行事と食文化は切っても切り離せない密接な関係にあります。世界に注目されている日本の伝統的な食文化を若い世代に伝えていくためには、改めて良さを知ってもらうことが大切です。

この和食を次世代に繋いでいこうと、日本料理賛否両論の笠原将弘氏などを中心に結成された和食給食応援団は農林水産省から認定を受け、実際に学校での和食の給食献立を開発サポートしたり、食育授業を展開したりと、活動の幅を広げています。2011~2016年の間に、全国の学校で推定約60万食もの和食給食を作ってきました。

食べることは、人々が生活していく上で必要不可欠な要素です。これまでの食育にプラスαの対策が加わった「第三次食育推進計画」を通して、食における日本の問題が少しずつでも解決していくことを願いたいものです。