「土曜学習応援団」の活用で経験の幅を広げる。改めて考えたい土曜授業の在り方

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ゆとり教育が導入されてから姿を消した土曜授業。子どもたちのより豊かな教育環境の実現に向け、平成25年3月に文部科学省では「土曜授業に関する検討チーム」が立ち上がりました。同年11月に学校教育法施行規則が改正されたことで、設置者の判断により土曜授業を行うことが可能にもなりました。これを受け、文部科学省は官民協働による土曜日教育ボランティア運動を推奨し、企業や団体からなる「土曜学習応援団」を組織。土曜日に行う多様な教育プログラムの推進を図っています。今回はその「土曜学習応援団」の取り組み事例をいくつかご紹介します。

目次

そもそも土曜学習応援団とは?

土曜学習応援団とは、土曜日教育を推進するために、会社員、公務員などが協働し、土曜日学習会や出張授業を行う組織のことです。これからのグローバル社会を生き抜く力を養うために、土曜学習ならではの、平日の授業とは異なる方向性のプログラムを実施し、学校での授業だけでなく地域における多様な学習や体験活動の充実を図っています。
平成28年9月の段階で、715もの団体が参加。子どもにはより豊かで有意義な教育環境を提供し、参加する大人はこれまで学んだ成果を活かす自己実現の場になる、Win-winの関係性が生まれています。

主な取り組みとしては
・学習会や出前授業などの推進や普及啓発
・特設HPを開設し学校・教育委員会と企業・団体とを繋ぐマッチングの実施
・文部科学省職員による、事前研修やフィードバックなどボランティア参画の推進

などが挙げられます。ここで、具体的な事例を見ていきましょう。

事例1:IT企業によるケータイ教室

土曜学習応援団に参加している企業の社員がボランティアとして出張授業を行います。子どものケータイやスマートフォンを通じたトラブルの増加が問題となっている社会の現状を踏まえ、「ケータイ教室」を展開。利用ルールやマナー、覚えておいてほしいケータイ・スマホやインターネットに関わるトラブルや事件の事例を紹介し、子どもの判断でリスクを回避する力を身に着けてもらうことが目的です。事前に学校の担当教師としっかり打ち合わせを行ってから講座を開催するため、学校のニーズや実際に起きているトラブルを考慮したプログラムとなっています。

事例2:学生と社会人を繋ぐキャリア授業

生徒がこれからのキャリアや進学など人生設計をするにあたり、実際に進学したり社会で働いている大人の意見を聞くことはとても大切なことです。しかし、高校生が学校や塾の先生や先輩以外の大人に出会うには、まだまだハードルがあります。
そこで土曜学習では、さまざまな分野で活躍する社会人や、大学生が高校へ訪問し、グローバル社会における日本の現状を講義。高校生たちはこれから生きていく社会をイメージすると同時に、仕事の面白さやチャレンジすることの大切さなどを学びます。また、ディスカッションを行うことで、社会に必要な理想の人材について、学生や社会人と混合のグループに分かれて議論をし、身の回りの出来事に問題意識を持ち、主体的に動くきっかけを与えます。
事後アンケートでは、将来に対するビジョンを持つ生徒や、日々の生活や授業において積極的に活動する生徒が増えたとの声が多かったそうです。

事例3:防災意識を身に着ける「ぼうさい探検隊」

子どもを中心とした地域の防災意識をあげること、コミュニティを固めることを目的とし、2004年から「ぼうさい探検隊」の活動が実施されています。土曜授業では子どもが住んでいる地域を探検し、新たな発見を得ることで地域の特性に応じた危険性や防災施設、設備を学び、防災意識を高めます。子どもたちが自主的に探索することで、興味・関心が高まるプログラムになっており、学年を超えた関係性の構築も期待できます。

土曜日に行う課外学習の時間は、平日に行われている通常授業との相乗効果で、子どもたちだけではなく、保護者の方々や先生自身にも気づきを与えるきっかけになるでしょう。さらに、学校、地域・企業が協力し合うことで、より有意義な教育活動が行えるはずです。まずは、自身の担当する子どもたちに経験して欲しい講座があるか、「土曜学習応援団」のホームページをのぞいてみてはいかがでしょうか。