特別授業へ格上げする授業 「道徳」の本来の目的をおさらい

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平成30年度より小・中学校で実施が決定している「特別の教科 道徳」。従来の、読み物を中心とした授業のスタイルとは違い、考え、議論する道徳への転換を目指しています。道徳の教科化は、安倍晋三政権のかねてからの意向でもあり、2015年に行われたいじめ問題の緊急対策を検討する提言の中で、道徳の教科化が改めて提案され、文部科学省、中央審議会を経て教科化に踏み出しました。教科書や心のノートを活用して進める場合の多い道徳の授業ですが、今後はどのように指導していけばいいのか、頭を悩ませている先生も多いのではないでしょうか。今後の指導方法を考える際に活かせるよう、ここで改めて、道徳の授業の役割と重要性について振り返ってみましょう。

目次

より必要性を増す道徳

そもそも道徳の授業とはどういったものなのでしょう。昭和33年に制定された学習指導要項において、道徳教育は学校の教育活動の全体を通じて行われ、学校教育の要とした働きを持っていました。こうした特徴は道徳の教科化後もそのまま引き継がれたものの、具体的な数値による評価がないため、「特別の教科」という新しい分野を設けたのです。
これからの時代を生きる子どもたちにとって、他人と自分を比べて競争するのではなく、様々な価値観や言語、文化を背景とする人と相互理解を深めながら生きていくことがこれまで以上に必要になってきています。多様な価値観を認めながら、自分自身で考え、他人と協働していく資質や能力を蓄えるため、道徳性の育成は必要不可欠なのです。

いじめ問題の対策としての道徳

いじめ問題が激化する昨今、自分の生き方について考えを深めることにつながる学習を通し、道徳的な判断力や心情、実践意欲を育てることが求められています。先生は生徒の発達の段階や特性を考慮し、指導のねらいに即して問題解決的学習や体験学習を取り入れるなど指導方法を工夫することが重要です。生徒たち自身に知識や経験があれば、それをもとに考え、身に着けることができます。これは次期指導要領の方向性とも一致しており、道徳の教科化は指導要領改訂を先取りする役割も同時に担っています。

主体的に課題解決する力を養う

道徳の体験的な学習として、役割演技を行うこともおすすめです。道徳に関連する具体的な場面での役割を生徒が演じ、実感することで問題に対しての理解が深まり、主体的に課題解決に向けて行動することができるようになります。また、実際に役割を演じてみると、「自分ならどうするか」を考えることができるため、先生が生徒の実質的な資質や能力を見たり養ったりすることができます。
体験した後は生徒同士で感想を交換しあったり、今後の生活にどう活かしていくのかを最後にまとめると、より生徒自身に落とし込むことができるでしょう。また、教材を使用した授業では、問題解決をする上で生徒同士で話し合いをし、新たな価値観や考えを発見したり創造したりする時間を持つことが大切です。さらに、ただの話し合いで終わらないようにするために、多面的、多角的な思考を促すような課題の設定をしたり、教材を選んだりするといいでしょう。生徒が自分事として議論し、探求する過程が道徳の授業ではさらに求められてきます。

現在は小・中学校ともに、「特別の教科 道徳」への移行期間と位置付けられています。内容の一部または全部を実施して良いとされる期間です。ちなみに高等学校においては、これまでは道徳の時間に該当する授業はありませんでしたが、次期指導要領では、公民科に新設される必修科目「公共」(仮称)が道徳教育の位置付けとなる方向で進んでいます。
道徳教育を教科化することとは、今まで蓄えた知識を使ってどのように社会や世界と関わり、より良い人生を送るかを考えた上での資質や能力を養うことにつながります。より一層、先生には指導方法の工夫が求められるでしょう。また、生徒の道徳心を育むためには、学校教育だけではなく、今後も家庭や地域社会と学校が連携した取り組みを行っていくことも重要です。