次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント 具体的な改善の方向性 4.学校段階別の改善の方向性 高等学校・特別支援教育編

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先生方が注目するトピックのひとつである『次期学習指導要領』の内容。これによって、現場での子どもたちに対する接し方が大きく左右されるといっても過言ではありません。今回は、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において8月26日にまとめられた、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」のポイントを数回にわたって簡単に紹介していきます。
今回は、その中でも最後の項目「4.学校段階別の改善の方向性」について、高等学校、特別支援教育に向けられた内容をまとめました。

目次

高大接続の動きを見越した改正

高等学校での教育については、高大接続改革の動きを踏まえながら、高等学校において育成が求められる資質・能力を確実に育み、社会生活や高等教育に学びの成果をつなげていく視点で改善します。そのためには、高等学校の教科・科目選択の幅の広さを生かし、育成を目指す資質・能力を明確にして教育課程を編成することが重要。生徒の多様な学習課題を踏まえ、学校設定教科・科目の開設による学び直しの充実も促進していく予定です。

そのために、社会で生きていく際に必要となる力を共通して身に付ける「共通性の確保」と、一人ひとりの生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばす「多様性への対応」の観点を軸にしながら、下記の通り教科・科目構成を見直します。

ここからは、教科ごとの具体的な改善策についてまとめます。

【国語科】
共通必履修科目については、育成が求められる言語能力の在り方を踏まえつつ、以下の2つを設定します。
・「現代の国語(仮称)」
実社会・実生活における言語による諸活動に必要な能力を育成
・「言語文化(仮称)」
日本の伝統や文化が育んできた言語文化を理解し継承して生かす能力を育成

また、選択科目については言語能力の三つの側面(1創造的・論理的思考、2感性・情緒、3他者との伝え合い)それぞれを主として育成する「論理国語(仮称)」、「文学国語(仮称)」、「国語表現(仮称)」を設定するほか、伝統的な言語文化に関する理解をより深めるための「古典探究(仮称)」も設定します。

【地理歴史科】
共通必履修科目については、以下の2つを設定します。
・「歴史総合(仮称)」
世界史必修を見直し、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察
・「地理総合(仮称)」
持続可能な社会づくりを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課 題を考察

選択科目については、歴史や地理を発展的に学習する科目として「日本史探究(仮称)」、「世界史探究(仮称)」、「地理探究(仮称)」を設定。

【公民科】
共通必履修科目については、以下を設定します。
・「公共(仮称)」
現代社会の諸課題を捉え考察し、選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論を、古今東西の知的蓄積を踏まえて習得するとともに、それらを活用して自立した主体として、他者と協働しつつ国家・社会の形成に参画し、持続可能な社会づくりに向けて必要な力を育む

選択科目については、人間としての在り方生き方や社会の在り方を発展的に学習する科目として「倫理(仮称)」、「政治・経済(仮称)」を設定します。

【理数科】
スーパーサイエンスハイスクールにおける取り組みの成果などを踏まえながら、教科の枠にとらわれない多面的・多角的な視点で事象を捉え、数学や理科における「見方・考え方」を活用しながら探究的な学習を行います。そこで、新たな価値の創造に向けて粘り強く挑戦する力の基礎を培う科目を、共通教科としての理数科に設定。探究の進め方等に関する基礎を学ぶ「理数探究基礎(仮称)」と、自ら課題を設定し探究する「理数探究(仮称)」とで構成します。
また、これらの科目の履修で「総合的な探究の時間(仮称)」(後述)と同様の成果を期待できる場合は、履修の一部又は全部に替えることができるものとします。

【数学科】
数学の学びを社会生活で活用する場面として、統計に関する学習を充実させていくことが重要です。「理数探究(仮称)」の新設なども踏まえて、「数学活用」を発展的に廃止するとともに、「数学C(仮称)」を新設するなど科目構成を見直します。

【理科】
「理数探究(仮称)」の新設なども踏まえて、「理科課題研究」を発展的に廃止します。

【外国語科】
国の高等学校卒業段階における英語力の目標を基に、国際的な基準であるCEFRのA2~B1レベル程度以上(英検準2級~2級程度以上)の高校生の割合を5割とする取り組みを進めてきたことを踏まえつつ、小・中・高等学校を通じて一貫して育む指標形式の目標を設定します。
科目構成については、以下の通りです。
・「英語コミュニケーションI・II・III(仮称)」
聞くこと、話すこと、読むこと、書くことを総合的に扱う科目群。「英語コミュ ニケーションI(仮称)」を共通必履修科目とする。

また、発表や討論・議論、交渉の場面を想定し、外国語による発信能力を高める科目群として「論理・表現I・II・III(仮称)」を設定します。

【家庭科】
科目の履修状況を踏まえ、現行の3科目からの選択必履修を改め、「家庭基礎(仮称)」と「家庭総合(仮称)」の2科目からの選択必履修とします。

【情報科】
共通必履修科目については、全ての高校生がプログラミングによりコンピュータを活用する力を身に付けられるようにするために、以下を設定します。
・「情報I(仮称)」
問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きとして捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を全ての生徒に育む

また、選択科目として「情報I(仮称)」の基礎の上に、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や、情報コンテンツを創造する力を育む「情報II(仮称)」を設定します。

【総合的な学習の時間】
高等学校における総合的な学習の時間は、特定の分野を前提とせず、実社会・実生活から自ら見いだした課題を探究することを通じて、小・中学校における学びを基盤としながら、より自分のキャリア形成の方向性を考えることにつなげるもの。いわば、生涯にわたって探究する能力を育むための、初等中等教育最後の総仕上げとなる重要な時間です。
一方で、小・中学校と比較して高等学校での取り組みが低調であるとの指摘も。重要性を踏まえた位置付けを明確化するため、例えば名称を「総合的な探究の時間(仮称)」として見直すとともに、生徒の主体的 な探究を支援する教材等の作成も検討します。

その他、保健体育科においては、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続したり、自他の健康課題を解決したりできるようにすることや、芸術科においては、生活や社会の中の芸術の働きや芸術文化と豊かに関わり、生涯にわたって芸術文化を愛好する心情をもてるようにすることを重視していきます。

また、主として専門学科において開設される教科・科目については、社会や産業の変化等を踏まえ、農業における経営感覚の醸成や、商業における観光に関する学習の充実の見直しなどを実施する予定です。

特別支援教育

・インクルーシブ教育システムの構築を目指し、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、多様な教育的ニーズに対応できる学びの場を確保します。

・通級による指導を受ける児童生徒及び特別支援学級に在籍する児童生徒に対する指導や支援が組織的・継続的に行われるよう、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作成します。

・高等学校における通級による指導の制度化に当たり、その単位認定の在り方を明示します。

・通常の学級においても、障害のある子どもが在籍している可能性があることを前提に、全ての教科等の学びの過程において考えられる困難さに対応した指導の工夫の意図や手立てを具体的に例示します。

・2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催などを契機とした「心のバリアフリー」の推進の動向も踏まえ、多様性を尊重する態度の育成や障害のある子供たちとの交流及び共同学習を重視します。

・特別支援学校の教育課程についても、「社会に開かれた教育課程」の考え方や資質・能力に基づく目標や内容の再整理等、今回改訂の共通の方向性に基づいて改訂します。また、在籍する児童生徒の障害の多様化に対応して、知的障害のある児童生徒のための各教科、自立活動、重複障害者等に対する教育課程の取扱いについて改善・充実を図ります。

次期学習指導要領の作成に向けて、具体的な方向性が明示された今回の発表。これまでの教育現場の課題と、現代の社会が求める人間像を考慮した教育の重要性を、政府の方でも実感しているようです。

【参考資料】
文部科学省『次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント