次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント 具体的な改善の方向性 4.学校段階別の改善の方向性 小・中学校教育編

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先生方が注目するトピックのひとつである『次期学習指導要領』の内容。これによって、現場での子どもたちに対する接し方が大きく左右されるといっても過言ではありません。今回は、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会において8月26日にまとめられた、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」のポイントを数回にわたって簡単に紹介していきます。
この記事では、その中でも最後の項目「4.学校段階別の改善の方向性」について、小学校、中学校教育に向けられた内容をご説明します。

目次

各学校段階の学びをスムーズにつなぐために

・初等中等教育の終わりまでに育成を目指す資質・能力は何か
・義務教育の終わりまでに育成を目指す資質・能力は何か

上記のような見通しを持ちながら、各学校段階間の接続を重視し、それぞれ以下のような方向性に基づいて改善していきます。

一人ひとりの学びの成果を学校段階を越えてつなぐため、小・中・高を通じて特別活動に「一人ひとりのキャリア形成と実現」を位置付け、「キャリア・パスポート(仮称)」の活用を促進することがねらいです。

小学校教育

小学校の6年間は、子どもたちにとって大きな幅のある期間。低学年、中学年、高学年の発達の段階に応じた資質・能力の在り方や指導上の配慮が必要です。また、小学校の学びはゼロからスタートするのではなく、幼児期の学びの上に育まれるもの。そこで、生活科を中心とした「スタート・カリキュラム」などを通じ、保幼小連携を図っていくことが重要です。また、小・中学校間で育成を目指す資質・能力を共有し、義務教育9年間を通じた資質・能力の育成を図ることも同様に重視する必要があります。

さらに、学習や生活の基盤作りという観点から、小学校段階における言語能力の育成は極めて重要。国語教育においては、小学校低学年で表れた学力差が、その後の学力差の拡大に大きく影響するとの指摘もあります。このことも踏まえ、学習の質に大きく関わる語彙力を伸ばすための指導や、文や文章の構成を理解したり、複数の情報を関連付けて理解を深めたりできるようにするための指導が充実するよう、育成を目指す資質・能力を明確化し、それを育む指導内容を再整理していくことが需要です。

外国語教育については、子どもたちが将来どのような職業に就いても求められる、外国語で多様な人々とコミュニケーションを図る基礎的な力を育成することが重要です。国の高等学校卒業段階における英語力の成果指標を基に、国際的な基準である英検準2級〜2級程度以上の高校生の割合を5割とする取り組みを進めてきたことも踏まえ、小・中・高等学校を通じて一貫して育む指標形式の目標を設定し、初等中等教育全体を見通して確実に育成していきます。

小学校段階では、現在高学年において「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を実施しています。一方で、子どもたちの「読むこと」「書くこと」への知的欲求も高まっている状況。そこで、全ての領域をバランスよく育む教科型の外国語教育を、高学年から導入していきます。
その際、単なる中学校の前倒しではなく、“なじみのある表現を使って、自分の好きなものや一日の生活などについて、友達に質問したり答えたりすることができる”といった、発達段階にふさわしい力を育成します。

外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、日本語と外国語の音声や語順等に気付いた上で、外国語の音声や表現などに慣れ親しませるようにするため、中学年の段階から「聞くこと」や「話すこと」を中心とした外国語活動を行い、高学年の教科型の学習につなげていくことが必要です。そのためには、年間35単位時間程度の時数大事になります。
また、高学年において、現行の外国語活動(35単位時間)における「聞くこと」「話すこと」の活動に加え、「読むこと」「書くこと」を加えた領域を扱うためには、年間70単位時間程度の時数が必要です。

合わせて、言語能力向上の観点から国語教育との連携を図り、相乗的な効果が見られる例などを踏まえた具体的な取り組みを推進していきます。

こうした小学校における外国語教育の導入に当たっては、先行して教材を整備することや、高学年を担当する現職教員の専門性を高めるための認定講習(中学校英語免許取得)の開設支援、外部人材の活用支援なども含め、指導者の確保を併せて実施し、平成32年度から円滑に実施できるよう計画的に準備していきます。

授業時数に関して、教育課程全体を見渡したとき、これからの時代に求められる資質・能力を育成していくためには、学びの量と質の双方が重要であり、また、教科学習と、教科横断的な学習の双方を充実させていくことが必要です。そのためには、各教科の指導内容は維持しつつ、資質・能力の育成の観点から質的な向上を図ることが前提となり、指導内容や授業時数を削減するという選択肢を取ることは困難です。

具体的な時数としては、中学年・高学年においてそれぞれ年間35単位時間増となります。週当たりで考えれば1コマ分ですが、小学校における多様な時間割編成の現状を考慮すると、全小学校において一律の取扱いとすることは困難です。そのため、15分の短時間学習の設定や、60分授業の設定、長期休業期間における学習活動、土曜日の活用や週当たりコマ数の増など、地域や学校の実情に応じて組合せながら、弾力的な時間割編成を可能としていくことが必要になってきます。
現在小学校で行われている時間割編成の工夫を参考にしながら、国や教育委員会と小学校現場、関係団体が連携して調査研究し、効果的な創意工夫の在り方を普及していきます。

その他、小・中・高等学校を見通した改善・充実を図るため、国語科における低学年から古典に親しむ学習の充実、社会科における世界の国々との関わりや政治の働き等に関する学習の充実(地図帳配布を第3学年からに前倒し)、プログラミング教育を行う単元の導入(総合的な学習の時間や理科、音楽など)、文字入力やデータ保存などに関する技能の着実な習得(教育課程全体)など、各教科などにおける課題に応じた教育内容の見直しを実施します。

中学校教育

義務教育を終える段階で求められる資質・能力を確実に育み、その成果を高等学校教育などのその後の学びに円滑に接続させていくことが必要です。そのために、小・中学校間で育成を目指す資質・能力を共有したり、中学校区内で教職員間・保護者間の連携を促進したりするなど、義務教育9年間を通じた資質・能力の育成を図っていきます。さらに、その成果を高等学校で受け止め、子どもの学習課題に応じて学び直しを行うなど、高等学校における「共通性の確保」を確かなものにしていくことが必要です。

中学生は葛藤の中で自らの生き方を模索し、思春期特有の課題も現れる時期。多様化する課題に対応するためには、各学校が直面する課題にどのように対応し、子どもたちにどのような資質・能力を育むことを目指すのかを、学校教育目標や育成を目指す資質・能力として明確にし、全ての教職員や地域が「カリキュラム・マネジメント」に関わることを通じて、課題や目標を共有して対応していくことが大切です。

部活動については、現行学習指導要領における位置付けを維持しつつ、将来まで持続可能な在り方を検討し、活動内容や実施体制を検討していくことが必要です。また、少子化が進む中で、部活動の実施に必要な集団の規模や指導体制を持続的に整えていくためには、一定規模の地域単位で運営を支える体制を構築することが長期的には不可欠。教員の負担軽減の観点も考慮しつつ、地域の人々の協力、社会教育との連携など、運営上の工夫を行うことが重要です。
部活動も学校教育活動の一環であることから、関係教科等と関連付けた「主体的・対話的で深い学び」を実現する視点が重要。例えば保健体育科の運動領域においては、運動やスポーツを「すること」のみならず「する・みる・支える・知る」といった多様な関わり方を学ぶよう指導していきます。

こうした考え方に基づき、運動部活動においても、スポーツに関する科学的知見や多様な関わり方を学ぶような指導が重要です。よって、部活動の指導については、スポーツや文化、科学などそれぞれの分野に関する科学的知見や、指導者や仲間との言語活動を重視した指導者教育が重要になります。
また、部活動の教育的意義として指摘される人間関係の構築や自己肯定感の向上などは、部活動の充実の中だけで図られるのではなく、学校の教育活動全体の中で達成されることが大切です。部活動の時間のみならず、子どもの生活や生涯全体を見渡しながら、短期的な学習成果のみを求めたり、特定の活動に偏ったりするものとならないよう、休養日や活動時間を適切に設定するなど、バランスのとれた生活や成長に配慮していくことを重視します。
こうした部活動についての考え方は、高等学校においても同様です。

その他、高等学校における新たな教科・科目構成との接続も含め、小・中・高等学校を見通した改善・充実を図るため、外国語科における全国学力・学習状況調査を活用した指導改善サイクルの確立、社会科におけるグローバル化への対応や政治参加、防災等に関する学習の充実、技術・家庭科技術分野におけるプログラミング教育の充実など、各教科などにおける課題に応じた教育内容の見直しを実施していく予定です。

小学校・中学校・高等学校の間での連携を強め、つながりのある学びを重視する傾向にあるようです。次回は、高等学校教育・特別支援教育の具体的な改善の方向性をお伝えします。

【参考資料】
文部科学省『次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント